働き方や雇用形態の多様化にともない、「パラレルキャリア」という働き方が注目を浴びています。それは、クリエイティブ職であっても例外ではありません。
「パラレルキャリア?副業とはどう違うの?」
という方に向けて、パラレルキャリアのメリットや、新しい仕事の始め方について、ご紹介したいと思います。

パラレルキャリアとは?
ここでは、一般的なパラレルキャリアの定義と、クリエイターにとってのパラレルキャリアについて見ていきます。
一般的なパラレルキャリア
パラレルキャリアとは、本業と並行(パラレル)して、第二のキャリアを築くことです。経営学者のP・F・ドラッカーによって、紹介された考え方です。
よく、副業と混同されますが、副業とパラレルキャリアでは、以下の違いがあります。
- 副業
金銭的な報酬を得ることが目的
- パラレルキャリア
スキルアップや自己実現が目的(報酬を伴うこともある)
上記の目的であるため、例えばボランティアなどもパラレルキャリアの1つとなります。もちろん、副業でもスキルアップや自己実現は可能です。ただ、パラレルキャリアはスキルアップや自己実現など、自身がやりたいことを軸にします。
クリエイターのパラレルキャリア
では、クリエイターにとってのパラレルキャリアは、どのような状態でしょうか。例えば以下のようなキャリアが考えられます。
- 本職がクリエイターで、パラレルキャリアで異なる職種
例えばデザイナー兼イラストレーター、ディレクター兼デザイナー、といった組み合わせの仕事をすることです。本職にも満足しているが、他のクリエイティブな職種も今後やっていきたい、という場合が考えられます。
- 本職がクリエイター以外で、パラレルキャリアがクリエイター
例えば事務職としてフルタイムで勤務しており、退勤後と週末を利用してデザイナーの仕事をすることです。クリエイティブな職種に憧れがあり、パラレルキャリアで挑戦してみたい、という場合が考えられます。一般的な、パラレルキャリアに近いです。
では、パラレルキャリアをするメリットは何でしょうか。
以下で見ていきます。

パラレルキャリアのメリット
パラレルキャリアをするメリットは、以下の4点が考えられます。
- 本業では得られない経験が得られる
- 本業へのモチベーション維持や向上に繋がる
- 人脈が広がる
- 起業や副業の準備にもなる
以下、1つずつ見ていきます。
本業とは異なる経験が得られる
本業ではできないことを、パラレルキャリアでは実現できます。そのため、本業とは異なる経験が得られます。稼ぐことが目的ではないので、小さく始めてみることができますし、始めたことがきっかけで、新しい仕事のチャンスが生まれることもあります。
本業へのモチベーション維持や向上に繋がる
本業は、必ずしも自身がやりたい仕事を、いま実施できているわけではありません。それがストレスになっている方は多いのではないでしょうか。パラレルキャリアは、自身がやってみたいことを始めるので、そのような仕事のストレスをリフレッシュすることができます。
また、本業を客観的に見ることができ、パラレルキャリアをするまでは気づかなかった、本業の良さ、ありがたさに気付くこともあります。
人脈が広がる
本業では、どうしても仕事で関わる人が限られてしまいます。パラレルキャリアは、仕事における人脈が広がりますし、たとえ本業につながらなくても、人との出会いによって気の合う仲間ができ、自身の人生を豊かにしてくれます。
起業や副業の準備にもなる
当初は、稼ぎを気にせず始めたパラレルキャリアも、経験や実績を積むことで稼げるようになることもあります。結果として、副業としてお金を稼いだり、フリーランスとして起業することも可能になります。
パラレルキャリアの具体例
上記4つのメリットは、少し抽象的な内容となっていますので、著者の例を挙げたいと思います。私は、本業がシステムエンジニアで、本業とは別にWEBライターの仕事を、パラレルキャリア(副業)としてやっています。
本業とは異なる経験が得られる
本業では、仕事内容をドキュメントにまとめる作業はあるものの、執筆して誰かに届ける、ということはありません。当メディア(foriio owned media)など、Web上で閲覧可能な媒体に記事を載せることで、多くの方に記事を読んでいただく、という本業ではない経験が得られています。
本業へのモチベーション維持や向上に繋がる
私がパラレルキャリアを始めたきっかけは、転職を考えたことでした。
本業に行き詰まりを感じ、色々と調べる中で出てきたのが、WEBライターという職業でした。記事の内容には、本業に関する内容もあります。
記事を執筆するには、内容に関する事前調査を行いますが、その結果、自身の置かれた状況を冷静に見ることができて、転職のメリット・デメリットを考え直すことになりました。本業の良さは、中にいるだけでは分からないこともあります。
人脈が広がる
前述のとおり、本業のみでは関わる人が限られます。
私の本業はクリエイターではないため、パラレルキャリアを始めていなければ、foriioや他のメディアの方々と関わる機会はなかっただろうと思います。
起業や副業の準備にもなる
私は現状、フリーランスに対する強い希望はありませんし、本業とのバランスを考えて請け負う記事は少ないです。一方で、フリーランスになりたいと思われる方であれば、例えば多くの執筆依頼を受け、一定以上の収入が得られるようになったら独立する、ということは可能だと思います。
その両方の選択肢を考えられるのが、パラレルキャリアの魅力だと思います。

パラレルキャリアの始め方
「パラレルキャリアを始めたい!でも、何を始めればいいんだろう?」
明確に、自身のやりたいことがあれば問題ありませんが、漠然としている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その場合は一度、頭の中を整理してみるのが良いでしょう。
やってみたい仕事を列挙する
やってみたい仕事を、思いつくままに列挙してみます。
紙に書き出しても、スマホにメモしても構いません。
ここでありがちなのが、例えばデザイナーに興味のある方が、
「いまの私がデザイナーをやっても、稼げないし…」とネガティブになってしまうこと。
パラレルキャリアは、稼ぐことが目的ではありません。最終的には本業にしたい、という目標があっても、まずはやってみようという気持ちで、列挙していけば良いでしょう。
列挙した仕事が、自身のモチベーション向上に繋がるか考える
仕事を列挙した後は、その内容を客観的に眺めてみます。
例えば「人に言ったらかっこいいと言われるかも」と思い、列挙した仕事はないでしょうか。その動機も、アリだと思います。
ただ、稼ぎを気にしないとはいえ仕事なので、手間と時間がかかります。本業と並行して実施するので、今までは休みや遊びに使っていた時間を、パラレルキャリアに使うことになります。
その想像をして、仕事リストから外したいと思うのなら、他の仕事を選んだ方が良いかもしれません。
クラウドソーシングで、仕事を探す
列挙した仕事の中に、自身のモチベーション向上に繋がると思えるようなものがあった。それなら、その仕事を始めてみましょう。
クラウドソーシングは、企業がインターネット上で、不特定多数の働き手に対し、業務を発注する形態です。クリエイターの仕事も、たくさん募集されています。デザイナーに限定しても、Webデザインから、ロゴ、キャラクター、パッケージのデザイン等、多くの依頼があります。
仕事の選び方については、「自身がやってみたいこと」と「自身ができること」のバランスで選ぶと良いかと思います。クラウドソーシングでは、多くの仕事が募集要項に「実績を提示してください」と記載されていることが多いですが、中には「未経験歓迎」という募集もあります。
「自身がやってみたいこと」に重きをおき、未経験歓迎の募集を探すのも良いですし、「自身ができること」をもとに、募集を探すのも良いでしょう。
マッチングサイトに登録し、仕事の紹介を受ける
発注者と受注者をマッチングするサイトに登録し、仕事の紹介を受けるのも良いでしょう。例えば、当ブログを運営している「foriio」では、クリエイターのマッチングサービスである「foriio Creator Match」を運営しています(登録無料)。
また、「foriio」では、クリエイター向けのポートフォリオプラットフォームを提供しています。「foriio」ではポートフォリオを作るための機能が充実しており、発注者の目に留まるポートフォリオを作成することができます。
クリエイターのパラレルキャリアを始めたい方は、ぜひ登録してみてください。

まとめ
今回は、パラレルキャリアのメリットと、新しい仕事の始め方について、ご紹介しました。何か新しい仕事に挑戦するにあたり、パラレルキャリアという形で始めてみるということも、選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。